「ワーホリで会社を辞めるけど、年金や健康保険ってどうなるの?」
「住民票って、抜くべき?入れたままの方が得?」
「カラ期間って聞くけど、将来の年金が減るのが怖い…」
そんな「手続き」の不安を抱えている、30歳前後のあなたへ。
Kea(ケア)はじめまして!
当ブログを運営するKea(ケア)です。
私自身、30歳を機にSIerを退職する当事者として、この最も複雑な問題を徹底的に分析しました。
結論から言うと、あなたの選択肢は大きく3つあり、どれを選ぶかで将来の手取り額が数百万円単位で変わります。
この記事では、30歳会社員(SE兼採用担当)の私が、各パターンのメリット・デメリットをロジカルに比較し、あなたがどの選択をすべきか最適解を導き出します!
- 年金・健康保険の手続き3つの選択肢のメリット・デメリット
- 【衝撃】年金1年未納による生涯損失額(41.6万円)の計算根拠
- 国民年金任意加入は、本当にお得なのか?
- 私たちがどのパターンを選んだかの結論
すべての鍵は「海外転出届」を出すか、出さないか
まず、あなたの選択肢は海外転出届(住民票を抜く)を役所に提出するかどうかで決まります。
この届を出すと、あなたは法律上「非居住者」となり、国民年金と国民健康保険の「強制加入の義務」がなくなります。
これを踏まえて、以下の3つの選択肢を比較します!
- 海外転出届を「出す」+ 年金・保険を「抜ける」(節約型)
- 海外転出届を「出す」+ 年金は「任意加入」する(堅実型)
- 海外転出届を「出さない」(保険維持型)



それでは早速、具体的に見ていきましょう!
【選択肢1】海外転出届を「出す」+ 年金・保険を「抜ける」(節約型)
最も多くの人が選ぶ、金銭的負担(初期費用)が一番軽いパターンです。
メリット(短期)
- 国民年金(月 約1.75万円)の支払いが免除される
- 国民健康保険料(月 数万円 ※)の支払いが免除される
- 住民税(年 数十万円 ※1)の支払いも免除される(1月1日ルール)
(※1 前年の所得(会社員時代の年収)に応じて計算されるため、負担額は非常に大きい)
→ ワーホリ中の手元資金(キャッシュ)が最大化されます。



住民税の1月1日ルールについては、詳しくは以下の記事で解説しています!
退職や渡航のタイミングを考えるのに参考にしてみてください。


デメリット(長期)
- 国民健康保険が使えない(=民間の高額な海外旅行保険への加入がほぼ必須)
- 国民年金が「カラ期間」となり、将来の受給額が減る
海外旅行保険はワーホリ保険等に加入すると思うので、こちらはほぼ問題ない人が多いかと思います。
【重要】カラ期間と未納の決定的な違い
年金を払わないと聞くと、未納という悪いイメージがあるかもしれません。しかし、今回のケース(海外転出届を出す)は全く異なります。
| ① 未納(一番ダメなパターン) | ② カラ期間(今回のケース) | |
|---|---|---|
| 状況 | 日本に住民票があり、支払う「義務」があるのに、払わなかった。 | 海外転出届を出し、支払う「義務」がなくなった期間。(任意加入もしなかった) |
| 受給資格期間(※2) | カウントされない | カウントされる(◎) |
| 将来の年金額 | 反映されない(減る) | 反映されない(減る) |
| 追納(後払い) | 2年以内なら可能 | 原則、できない(×) |
(※2:年金をもらうためには、最低10年(120ヶ月)の受給資格期間が必要です)
ただし、デメリット(年金額が減る)は未納と同じです。そして、このカラ期間の分は、後から追納(後払い)ができません。
だからこそ、「今、任意加入するか(選択肢2)」か「将来の減額を受け入れるか(選択肢1)」の決断が重要になるのです。
コラム:未納の場合は追納できるのに、カラ期間の場合は追納できないのはなぜ?(タップで開きます)
「どちらも払っていない期間なのにおかしい」と思った方、鋭いです。
これは、国の制度上、この2つの払っていない理由が全く異なるからです。
1. 未納(みのう)期間とは?
- 状態: 日本国内に住んでおり、国民年金を支払う義務があったのに、払わなかった(無視した)状態。
- 救済措置(追納): 義務を果たさなかったペナルティとして、2年以内なら、後から払う(追納する)ことを許可しますというルールになっています。
2. カラ期間とは?
- 状態: 海外転出届を出し、日本に住んでいないため、国民年金を支払う義務が免除されていた状態。
- 救済措置(任意加入): そもそも義務がなかった(合法的に払っていない)ため、後から払う(追納)という概念が存在しません。 その代わり、義務は免除するけど、もし将来の年金額が減るのが嫌なら、『任意加入』という権利をあげますよという制度が用意されています。
結論: 未納は義務違反への救済措置(追納)であり、カラ期間は義務免除の代わりに与えられた権利(任意加入)なのです。



ワーホリに行く方は、渡航前に「任意加入」するか「将来の減額を受け入れるか」の意思決定が必要です。
【衝撃】年金1年未納による「生涯損失額」は41.6万円
では、この「カラ期間」が1年間(12ヶ月)発生した場合、将来いくら損をするのでしょうか?
(※2025年度の最新データに基づき、正確な数字をシミュレーションしました)
| 項目 | 金額(2025年度データ試算) | 計算根拠 |
|---|---|---|
| 国民年金(満額・年額) | 約83.2万円 | 40年(480ヶ月)納付した場合 |
| 1ヶ月分の価値(年額) | 約1,733円 | 83.2万円 ÷ 480ヶ月 |
| 12ヶ月未納の年間損失額 | 約20,796円 | 1,733円 × 12ヶ月 |
| 生涯損失額(20年間) | 約41.6万円 | 20,796円 × 20年(65歳〜85歳) |
| 生涯損失額(30年間) | 約62.4万円 | 20,796円 × 30年(65歳〜95歳) |
つまり、1年間(約21万円)の保険料を節約するために、将来65歳から死ぬまで「毎年約2万円」が減額され続け、生涯で41万〜62万円以上の「損」をする可能性がある、ということです。



日本人の平均寿命は、
男性:81.09年
女性:87.14年
(内閣府:令和7年版 高齢社会白書より)
と考えると、やはり生涯損失額41.6万は平均的に妥当な額と言えそうです。
(おまけ)3ヶ月、6ヶ月未納の場合のシミュレーション結果はこちら
| ワーホリ期間 (未納期間) | 任意加入コスト (払うお金) | 将来の年間損失額 (毎年減る額) | 生涯損失額 (65~85歳の20年間) | 生涯損失額 (65~95歳の30年間) |
| 3ヶ月 | 52,530円 | 約 5,198円 | 約 10.4万円 | 約 15.6万円 |
| 6ヶ月 | 105,060円 | 約 10,396円 | 約 20.8万円 | 約 31.2万円 |
ワーホリに3ヶ月、6ヶ月のパターンでカラ期間を設けると、このような結果になりました。



次に解説する選択肢2は、年金に任意加入する将来のお金まで見据えたプランです!
【選択肢2】海外転出届を「出す」+ 年金は「任意加入」する(堅実型)
「将来の年金は1円も減らしたくない!」という堅実派のパターンです。
メリット(長期)
- 将来の年金受給額が減らない(カラ期間が発生しない)
- 国民健康保険料・住民税の支払いは免除される(節約)
デメリット(短期)
- 国民年金保険料(月 約1.75万円)を海外から払い続ける必要がある
(年間コスト:約21万円) - 国民健康保険は使えない(=海外旅行保険は別途必須)
【SEが分析】任意加入は投資としてアリかナシか?
今21万円を払って、将来41〜62万円(それ以上)のリターンを得る…。
これは金融商品としてどうなのでしょうか?
簡単に、投資として分析をしてみましょう。
- 投資額(1年分): 21万円
- 生涯リターン(20年受給): 41.6万円
- 投資利回り(単純計算): 約198%
これは、NISA(積立投資)などで期待される平均利回り(年3〜7%)とは比較にならない、驚異的な「元本保証(国が保証する)」の金融商品と言えます。
【私たちの選択:国民年金の任意加入は「しない」】
198%の最強の投資と分析したにもかかわらず、私たちは、将来もらえる年金額が減ることを承知の上で、「任意加入はしない」を選択しました。
これは感情論ではなく、より大きなリターンが期待できる投資に資金を集中させるという、論理的判断です。
私たちの投資判断:
- 投資A(年金): 投資額21万円 → リターン約198%(堅実・元本保証)
- 投資B(ワーホリ): 投資額21万円(手元資金) → リターン1000%超?(ハイリスク・ハイリターン)
(※投資Bの根拠:私(採用担当)の分析では、ワーホリによる英語力向上とキャリアアップ(例:外資系転職)は、生涯で1,000万円以上のリターン(利回り1000%超)を生む可能性があると試算しています。)
私たちは、堅実な投資A(年金)を諦めてでも、手元の資金(21万円)をリターンの大きい投資B(ワーホリ)に集中させる方が、トータルの生涯年収(資産)を最大化できると判断しました。
もちろん、これは「貯蓄が潤沢にある(両方に投資できる)人」や「リスクを取りたくない人」には当てはまりません。
貯蓄が潤沢にあるならば、任意加入は「最強の金融商品」として絶対にしておくべきです!!



最終的には、ご自身の貯蓄状況やキャリアプラン(ワーホリにどれだけ投資するか)と合わせて、じっくり考えて判断してください!
【選択肢3】海外転出届を「出さない」(保険維持型)
「1年未満で帰国するかも」、「日本の健康保険がないと不安」という人が選ぶパターンです。
メリット(安心感)
- 日本の「国民健康保険」を維持できる
(海外療養費制度が使える) - 国民年金も払い続ける(将来の年金額が減らない)
デメリット(金銭的負担・大)
- 国民年金(年 約21万円)の支払い義務が継続
- 国民健康保険料(年 数万〜数十万)の支払い義務が継続
- 住民税(年 数十万円)の支払い義務が継続
→ 30歳会社員(年収400万)の場合、海外にいるのに年間40万〜60万円以上を払い続けることになり、金銭的デメリットが最大です。



資金が潤沢にある方や、安心感を優先する方は選択肢に上がると思います。
【結論】30歳ワーホリの最適解と私たちの選択
3つの選択肢を比較した結果、論理的な最適解と、私たちが選んだ道は以下の通りです。
ステップ1:「選択肢3(出さない)」は除外する
1年以上のワーホリに行く場合、「選択肢3(住民票を残す)」は、金銭的デメリット(年間数十万の支払い)が大きすぎるため、合理的な選択肢から除外します。



1~6ヶ月の短期間でのワーホリなら選んだかもしれません。
ステップ2:「選択肢1(節約)」vs「選択肢2(堅実)」
ここであなたの価値観が問われます。
| 選択肢1(節約) | 将来の年金(生涯41万〜)が減るリスクを受け入れ、今の手元資金(21万円)を取る。 |
| 選択肢2(堅実) | 今(21万円)を投資し、将来の年金(生涯41万〜)という確実なリターンを取りに行く。 |
【私たちの選択】選択肢1:年金・保険を「抜ける」(節約型)を選びました
年金の任意加入を198%の最強の投資と分析したにもかかわらず、私たちは、将来もらえる年金額が減ることを承知の上で、「任意加入はしない」(選択肢1)を選択しました。
これは感情論ではなく、「より大きなリターンが期待できる投資」に資金を集中させるという、SEとしての論理的判断です。
私たちの投資判断
- 投資A(年金): 投資額21万円 → リターン約198%(堅実・元本保証)
- 投資B(ワーホリ): 投資額21万円(手元資金) → リターン1000%超?(ハイリスク・ハイリターン)
【投資Bの根拠】
私(採用担当)の分析では、ワーホリによる英語力向上とキャリアアップ(例:外資系転職)は、生涯で1,000万円以上のリターン(利回り1000%超)を生む可能性があると試算しています。
私たちは、堅実な投資A(年金)を諦めてでも、手元の資金(21万円)をリターンの大きい投資B(ワーホリ)に集中させる方が、トータルの生涯年収(資産)を最大化できると判断しました。
もちろん、これは「貯蓄が潤沢にある(両方に投資できる)人」や「リスクを取りたくない人」には当てはまりません。
あなたが選ぶべき道
もちろん、私たちの「ハイリスク・ハイリターン」な判断は、すべての人に当てはまりません。
- 貯蓄が潤沢にある(両方に投資できる)人
- リスクを取りたくない(堅実派の)人
上記に当てはまる方は、任意加入(選択肢2)は「元本保証・利回り198%」の最強の金融商品として、絶対に「加入しておくべき」です!
ご自身の貯蓄状況やキャリアプランと合わせて、じっくり考えて判断してください。



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