ワーホリ退職、いつ辞めるのが一番得?「住民税節約」vs「ボーナス」をSEが徹底比較

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「12月31日までに退職して出国すれば、住民税(数十万円)がまるまる0円になるらしい…」

ワーキングホリデーでの退職タイミングを調べているあなたは、住民税の「1月1日ルール」という”裏ワザ“を見つけて、今まさに悩んでいるのではないでしょうか?

はじめまして!
当ブログを運営するKea(ケア)です。

私自身、30歳を機にSIerを退職するにあたり、SE(システムエンジニア)として、この「いつ辞めるのが一番得か?」問題(=最適化問題)を徹底的にシミュレーションしました。

結論から言います。

住民税(例:年収400万で約18万円)の節約だけを目当てに年内退職を選ぶと、
冬のボーナス(例:約43万円)を丸ごと失い、結果として「大損」する可能性が極めて高いです。

この記事では、なぜそうなるのか、あなたの「損益分岐点」はどこにあるのかを、SEの私がロジカルに徹底解説します。

この記事でわかること
  • 住民税「1月1日ルール」の仕組みと節税額(メリット)
  • あなたが失う「冬のボーナス」という最大のコスト(デメリット)
  • 【年収400万モデル】での「損益分岐点」シミュレーション
  • あなたが取るべき「最強の退職タイミング」とは
Kea(ケア)

一般的に『住民税』と呼ばれますが、これはお住まいの『市県民税』の合計額です!

目次

住民税「1月1日ルール」とは?(節税の仕組み)

まず、節税戦略の根幹となるルールです。
住民税は、毎年「その年の1月1日」に住所がある人(居住者)に対し、「前年(1月〜12月)の所得」を元に課税されます。

このルールを逆手に取ったのが、今回の戦略です。

パターンA:2025年12月31日までに出国(節税成功)

  • 2026年1月1日の状況: 日本に住所がない「非居住者」
  • 2026年度の住民税(2025年分): 課税されない(0円)
  • 結果: 2025年に稼いだ所得に対する住民税が、まるまる非課税になります。

パターンB:2026年1月2日以降に出国(節税失敗)

  • 2026年1月1日の状況: まだ日本に住所がある「居住者」
  • 2026年度の住民税(2025年分): 全額(1年分)課税される
  • 結果: たった数日の差で、2026年6月頃に届く納税通知書(2025年分の住民税)を全額支払う義務が生じます。

【分析1】メリットはいくら?年収別の住民税節税シミュレーション

では、パターンA(年内出国)を選んだ場合、具体的にいくら節税(=メリット)できるのでしょうか?

ここでは「独身(単身)」と「夫婦(片方が扶養)」の2パターンで、年収別に試算します。

ケース1:独身(単身)でワーホリに行く場合

まずは基本となる、独身(扶養なし)の場合の試算です。

あなたの年収課税所得金額(目安)節税できる住民税額(年額)
400万円約173万円約17.8万円
500万円約238万円約24.3万円
800万円約442万円約44.7万円

年収400万円の人なら、約18万円が手元に残る計算です。年収が上がるほど、節税メリットは大きくなります。

ケース2:夫婦(妻/夫を扶養)でワーホリに行く場合

次に、配偶者(妻または夫)を「扶養」に入れている会社員の場合です。

扶養に入れている場合、住民税の「配偶者控除(33万円)」が適用されるため、もともと(独身の人より)納める税金が安くなっています。そのため、節税できるメリット(非課税になる額)も、その分(約3.3万円)少なくなります。

あなたの年収課税所得金額(目安)節税できる住民税額(年額)
400万円約140万円約14.5万円
500万円約205万円約21.0万円
800万円約409万円約41.4万円

【私たち(共働き夫婦)の場合】
私たちは「共働き」なので、扶養には入っていません。
この場合は、お互いの年収を「ケース1:独身」の表に当てはめて合算します。
(例:夫400万+妻300万なら、世帯で「約18万+約13万=約31万円」の節税メリットになります)

【シミュレーションの注釈】

  • 上記は「東京23区在住・30代独身・社会保険料を年収の15%・控除は基礎控除と社会保険料控除のみ」と仮定した、あくまで概算値(目安)です。
  • 住民税の均等割や所得割の税率(通常10%)は、お住まいの地域によってわずかに異なる場合があります。
  • ふるさと納税を利用しているかどうかでも納税額が変わります。
  • あなたの正確な節税額は、昨年の住民税 課税決定通知書に記載の税額(年額)を見るのが最も確実です。

年収400万円・独身の人なら、約18万円が手元に残る計算です。
「よし、絶対に年内に辞めよう!」…と、ここで飛びつくのが「罠」です。

【分析2】デメリットはいくら?最大の罠ボーナス査定と申告タイミング

この戦略の最大のコスト(デメリット)は、「12月上旬にボーナスを満額もらった上で、12月末に円満退社する」という、スケジュールが現実には極めて困難である点です。

読者の皆さんの多くが「冬のボーナスは12月頃にもらえる」はず、とお考えでしょう。その通りです。

では、なぜ大損する可能性があるのでしょうか?
それは「退職の申告タイミング」と「ボーナス査定」のジレンマがあるからです。

読者が直面する「2つの現実」

  • 現実1:円満退社のルール
    多くの会社の就業規則では、円満退社のために「退職の1ヶ月前(または2ヶ月前)までに申告する」必要があります。
  • 現実2:ボーナス査定のルール
    ボーナス(賞与)は「過去の労働への対価」であると同時に、「将来への期待値」も加味されて査定されます。

住民税節約(パターンA)のために「12月31日退職」を選ぶ場合、あなた(会社員)は現実1のルールに基づき、11月30日(または10月末)までには上司や責任者に退職を申告しなければなりません。

ここで「罠」が発動します。

11月末に「12月末に辞めます」と申告した社員に対し、会社(上司)が冬支給のボーナス査定を行う際、「将来への期待値=ゼロ」として査定評価を最低ランクにし、結果として満額支給されず減額されるリスクが発生します。(※これは違法の可能性もありますが、査定裁量の範囲内として、現実に行われ得るグレーゾーンです)

Kea(ケア)

あくまでリスクの話ですが、ボーナスが満額支給されるかどうかは確認した方が確実です。

【SEがシミュレーション】年収400万モデルの損益分岐点

なぜ「年収400万円」でシミュレーションするのか?

厚生労働省の統計や民間の給与データを見ると、30歳前後の会社員の平均年収は約400万円〜450万円が最も多いボリュームゾーンです。

私自身のSEとしての経験(や、採用担当として見てきた感覚)からも、これは最も現実的で、多くの読者の方がご自身の状況としてイメージしやすい数字だと判断しました。
(※もちろん、あなたの年収が500万円でも300万円でも、この後の考え方は全く同じです!)

損益シミュレーション

では、この年収400万円の人をモデルに、「メリット」と「デメリット」を天秤にかけてみましょう。あなたの退職申告タイミングによって、手取り額が激変します。

前提条件の確認

  • あなたの年収: 400万円(月収 約33.3万円)
  • メリット(節税額): 17.8万円 (分析1より)
  • 冬ボーナス(満額): 約43.3万円 (月収の1.3ヶ月分と仮定)

シナリオA(最も合理的)ボーナス満額確保 + 翌年退職

  • 行動: ボーナス(43.3万)が満額支給された「後」(例:12月11日)に、「来年3月末退職」を(円満退社ルールに則って)申告。
  • 得るもの(収入):
    ボーナス満額(+43.3万)
    + 3ヶ月分の給与(+100万 ※1〜3月分)
    合計 約143.3万円
  • 失うもの(コスト):
    翌年度の住民税(-17.8万)
  • 純損益(収入 – コスト): 143.3万円 − 17.8万円 = プラス 125.5万円

シナリオB(大損する罠)節税狙いで年内退職

  • 行動: 11月末に12月末退職を申告。ボーナス査定が最低評価になり50%減額された。(※最悪の場合、不支給=-43.3万)
  • 純損益: 17.8万円(住民税メリット) − 21.6万円(失うボーナス半分) = マイナス 3.8万円

シミュレーション結論

→ シナリオB(年内退職)の「-3.8万」と比較して、シナリオA(翌年退職)の「+125.5万」は、金銭的には圧倒的に得です。
18万円の税金を払ってでも、それ以上のボーナス+給与を確保する方が、ワーホリ資金は遥かに潤沢になります。

Kea(ケア)

もちろん、年明け3ヶ月分の生活費など別のコストがかかるのでマルっと125万プラスというわけではない点に注意!

他にもある年内退職のコストとリスク

ボーナス査定のリスク以外にも、年内退職には無視できないコストとリスクがあります。

  • 航空券の高騰
    年末年始は航空券が最も高騰する時期です。通常期より10万円以上高くなることもあり、節税額(18万)の大半が相殺されます。
  • 準確定申告の手間
    年末調整を受けずに退職するため、出国までに自分で「準確定申告」を行う手間(または税理士費用)が発生します。
  • 退職金の税務リスク
    退職金を受け取るタイミングが「非居住者」になると、「退職所得控除」という最強の節税枠が使えず、逆に税金(所得税20.42%)が高くなる可能性があります。
  • 【最重要】1年未満の帰国リスク
    ワーホリで1年行くつもりが、事情が変わり3ヶ月で帰国した場合など、滞在が1年未満だと「生活の本拠は日本にある」とみなされ、後から住民税を追徴課税されるリスクがあります。

年内退職(12月31日まで)が最強の選択肢になる人

ここまで読むと、年内での退職を推奨していないように見えますが、そういうわけではありません。
もちろん、年内退職が最強の選択肢となる人たちもいます!

それは、ボーナス査定の罠(デメリット)が最初から存在しない人たちです。

以下に当てはまる人は、年明けまで待つメリットがないため、12月31日までに出国(海外転出届を提出)し、住民税(年収400万なら約18万円)を節約するのが金銭的に最も合理的です。

ここからは、さらに具体的に年内退職が得になる3パターンを解説します。

1. 冬のボーナスがない人(フリーランス・年俸制など)

これが最も分かりやすいケースです。
失うコスト(ボーナス)が0円なので、節税メリット(住民税)がそのまま純利益になります。

  • フリーランス、自営業者
  • 年俸制(ボーナスが給与に含まれる)の会社員
  • 退職日がボーナス査定期間より「前」で、すでにボーナスが「0円」と確定している人

2. ボーナスより住民税の節約額の方が大きい人

ボーナスが支給されても「寸志(すんし)程度」という会社の場合です。
(例:節税額 18万円 > ボーナス 5万円)
この場合も、ボーナスを放棄して年内退職する方が金銭的に「得」になります。

3. ボーナス満額受給と年内退職を両立できる人

これは最強のパターンです。

会社の就業規則で、ボーナス支給(例: 12/10)の「直後」に退職(例: 12/28)することが可能な場合。この場合のみ、「ボーナス(+43万)」と「住民税節約(+18万)」の両方を手に入れることができます!

あなたの状況が上記に当てはまるかどうかも含め、まずは「就業規則(賞与規定)」を確認することから始めましょう。

【FAQ】いつ辞めるかタイミング問題のよくある疑問

ボーナス後に辞めて3月出発など日本での準備期間を設ける場合、1月~3月の「無職期間」の健康保険や年金はどうなりますか?

住民票を抜く(海外転出届を出す)までは、国民健康保険と国民年金に加入する義務があります。

ご質問のケース(例:12月末に退職し、3月末に出国する)のように、退職日から出国日までに無職期間がある場合、その期間は会社の社会保険から脱退しています。

退職後(社会保険の資格喪失日)から14日以内に、すぐに市役所/区役所で国民健康保険と国民年金(第1号被保険者)への加入手続きが必須です。

3月末に出国(海外転出届を提出)する場合、その1月〜3月の3ヶ月分の保険料・年金(月額 計3〜5万円程度 ※前年所得による)を支払う必要があります。

詳しい手続きは以下の記事で解説しています↓

ボーナス支給日の翌日に退職を伝えたら、「ボーナスを返せ」と言われませんか?

非常に稀ですが、そのリスクはゼロではありません。

法的には、支給されたボーナス(過去の労働の対価)を後から返還させることは困難です。しかし、就業規則に「賞与支給後、特定の期間内(例:3ヶ月以内)に退職した場合は、一部を返還する」といった(違法の可能性が高い)条項がある会社も存在します。

【採用担当としての本音】
最も安全なのは、ボーナス支給から少し時間をおき、年末面談などのタイミングで「来年3月末退職」を切り出すことです。これが、ボーナスを確実に守りつつ、円満退社も実現する最も合理的なムーブです。

夫婦(共働き)で行く場合、この損益分岐点はどう考えればいいですか?

世帯で考えず、個人で考えます。

あなたの会社のボーナス査定ルールと、パートナーの会社のボーナス査定ルールは別物かと思います。

私たち夫婦もそうですが、「夫はボーナス確保→翌年3月退職(シナリオA)」が最適解でも、「妻は年俸制だから年内退職→住民税節約(シナリオB)」が最適解、というケースは十分にあり得ます。

世帯で一括りにせず、お互いがこの記事のシミュレーションを自分ごととして行い、世帯の手取りが最大化する退職タイミングを(夫婦で)話し合ってみてください。

国民健康保険や国民年金も「1月1日ルール」が関係しますか?

いいえ、関係ありません。

国民健康保険料・国民年金は、1月1日が基準日ではありません。
これらは海外転出届を提出した日(住民票を抜いた日)が基準となります。

したがって、1月1日をまたぐかを気にする必要があるのは、基本的に住民税だけと覚えてOKです。

(※もし持ち家がある場合、固定資産税も住民税と同じ1月1日が基準日になるため、海外にいても納税義務が発生します)

(持ち家がある場合)固定資産税はどうなりますか?

残念ながら、これは「1月1日ルール」が適用されます。

固定資産税は、その年の1月1日時点の所有者に課税されます。
これはワーホリで海外にいても(非居住者でも)、1月1日時点で所有者であれば納税義務が発生します。

30歳ワーホリで持ち家がある方は稀ですが、もし該当する場合は、住民税とは別にワーホリ中に変わりに税金を納めてくれる納税管理人の手続きが必須です。

Kea(ケア)

この他にも気になることがありましたら、気軽にコメントください!
調査して、回答します。

【結論】あなたの最適解は就業規則(ボーナス査定)が知っている

SEの私がロジカルに分析した結論です。
「いつ辞めるのが一番得か?」の答えは、あなたの会社の就業規則(賞与規定)によって、以下の2パターンに分かれます。

【パターンA】最も合理的な選択(大多数の会社員)
「ボーナス満額支給後に退職を申し出て、翌年(例:3月末)に出国する」
これが、住民税(-18万)を払ってでも、ボーナス(+43万)と給与(+100万)を確保する、金銭的に最も「得」をする選択です。

【パターンB】年内退職が最強な人
以下の方は、ボーナス査定の罠が存在しないため、年明けまで待つメリットはありません。
12月31日までに出国し、住民税(約18万)を節約するのが最適解です。

  • 冬のボーナスが「ない」人(年俸制、フリーランスなど)
  • ボーナスより住民税の節約額の方が大きい人(寸志程度の場合)
  • ボーナス満額受給と年内退職を「両立」できる(就業規則的に可能)会社の人

この戦略は無から有を生む節税策ではなく、退職・移住タイミングの最適化です。
まずはあなたの会社の「就業規則(賞与規定)」を確認し、退職申告者がボーナス減額の対象になるかを調べるところから始めましょう!

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