ニュージーランドへのワーキングホリデー(ワーホリ)や留学を控えている皆さん、準備は順調ですか?
Kea(ケア)Kia ora(キアオラ)!
当ブログ「ふふろぐ」を運営するKea(ケア@kea_fufulog)です。
荷物の準備やビザの手配と並んで、多くの方が不安に感じているのが英語ではないでしょうか。
特に「キウイ・イングリッシュ(Kiwi English)」と呼ばれるニュージーランド英語は、発音やスラングが独特で、「アメリカ英語やイギリス英語と全然違う!」と戸惑うことが多いんです。
- 「”fish and chips” が “fush and chups” に聞こえるって本当?」
- 「”Yeah, nah” って、Yesなの? Noなの?」
- 「仕事探しで必須の単語は?」
そんな皆さんの疑問や不安を解消するため、この記事ではニュージーランド英語(NZE)の音、単語、文化的背景を徹底的に解説します。
ニュージーランド英語は単なる訛りではなく、イギリス英語の基盤に、独自の発音進化、そして先住民族の公用語「テ・レオ・マオリ(Te Reo Māori)」が融合した、非常にユニークな言語です!
この記事を読めば、現地の人々とのコミュニケーションがスムーズになるだけでなく、知らずにやってしまうかもしれない文化的な大失敗も避けられます。
ワーホリ生活を120%楽しむための実践的な言語ガイドとして、ぜひ最後までお読みください!


なぜ聞き取れない? キウイ・イングリッシュ「音」の秘密
多くの人がニュージーランドに到着して最初に直面する壁がリスニングです。
キウイの英語は、母音の使い方が他の英語と大きく異なるキウイ母音シフトという現象によって特徴づけられています。
「fush and chups」の謎: “i” の音が「ウ」になる
ニュージーランド英語の最大の特徴としてよく挙げられるのが、「fish and chips(フィッシュ・アンド・チップス)」が「fush and chups(フッシュ・アンド・チュップス)」のように聞こえる現象です。
これは、”fish” や “chips” に含まれる、短い “i” の音(発音記号 [ɪ])が、英語特有の「曖昧母音(あいまいぼいん)」に変化しているためです。
この音は専門用語で「シュワ(schwa)」[ə] と呼ばれ、口の中央でリラックスして発音されます。日本語の「ア」でも「ウ」でもない、単語の中でアクセントが置かれない、弱い「ァ」や「ゥ」のような音(例: “about” の ‘a’ の音や、”uh…” とためらう時の音)に近いとされています。
「bed」が「bid」に聞こえる謎: “e” の音が「イ」になる
もう一つ、学習者を混乱させるのが “e”の音です。
キウイ英語では “e” の音が、”i” の音に非常に近い位置まで高くなって発音されます。
その結果、ニュージーランド英語話者が「bed(ベッド)」と言うと、私たちの耳には「bid(ビッド)」のように聞こえ、「pen(ペン)」は「pin(ピン)」、「dead(デッド)」は「did(ディッド)」のように聞こえてしまうのです。
オーストラリア英語との決定的な違い
「ニュージーランド英語もオーストラリア英語も同じようなものでは?」
と思うかもしれませんが、両者は明確に異なります。
その違いを見分けるテストが、まさに「fish and chips」です。
- ニュージーランド(NZE): “fush and chups” (フッシュ・アンド・チュップス)[ə]
- オーストラリア(AusE): “feesh and cheeps” (フィーシュ・アンド・チープス)[i]



キウイ(NZE話者)はオージー(AusE話者)と間違われることを嫌う傾向があるため、この違いは知っておくと役立つでしょう!
その他の音の特徴(早口? Rの音は?)
- イントネーション (HRT): 質問ではない普通の文でも、文末が上がりがちです。オーストラリア英語と共通の特徴
- Rの発音: イギリス英語と同様、”car” や “water” の語末の r は発音しません(ノン・ローティック)
- Tの発音: イギリス英語のように “water” の t をハッキリ発音します。アメリカ英語のように “warer”(ワラー)とはなりません
これだけは押さえたい! 必須キウイ・スラング&マオリ語
キウイ・イングリッシュの心とも言えるのが、独自の語彙(スラング)と、公用語である「テ・レオ・マオリ」の融合です。
究極の万能フレーズ:「Sweet as」
ニュージーランド英語のインフォーマルな会話で最もよく使われるのが、形容詞の後ろに “as” をつける用法です。
これは「とても」「すごく」という強調を意味します。
“Sweet as” の使い方
- Sweet as (スイート・アズ): 最も多用されるフレーズ。「最高」「素晴らしい」「OK」「了解」「問題ない」「どういたしまして」など、あらゆる肯定的な場面で使えます。
- Tired as (タイヤード・アズ): 「すごく疲れた」
- Hungry as (ハングリー・アズ): 「すごくお腹が空いた」
使用例:
“I’ll be there at 7.”(7時に行くね)
“Sweet as.”(了解)
ニュージーランド流の「No」:「Yeah, nah」
一見、矛盾しているように聞こえますが、これらは非常に頻繁に使われるフレーズです。
- “Yeah, nah” (イェア、ナー): 意味は「No(いいえ)」です。
- “Nah, yeah” (ナー、イェア): 逆に意味は「Yes(はい)」です。
これは、相手の意見や状況を一度受け止め、対立を避けようとするキウイ(ニュージーランド人)の文化が表れたものとされています。
“Yeah, nah” の場合、最初の「Yeah」は「あなたの言ったことは受け止めたよ」「そうだよね(共感)」という相槌にすぎません。その後に続く「nah」が「でも、結論はNoだよ」という本音の部分になります。



私たち日本人と気質が似ていますね!
日常生活に溶け込むマオリ語
ニュージーランド英語を学ぶ上で、テ・レオ・マオリは欠かせません。
1990年代以降、マオリ語の単語はニュージーランド英語に急速に溶け込んでおり、知っていることが前提の単語も多いです。
- Kia ora (キア・オラ): 最重要。「こんにちは」「ありがとう」「さようなら」など、万能の挨拶
- Kai (カイ): 食べ物
- Whānau (ファーナウ): 単なる家族ではなく、親戚やコミュニティ全体を含む拡大家族
- Aotearoa (アオテアロア): マオリ語でのニュージーランドの名称。「長く白い雲のたなびく地」という意味
- Kūmara (クマラ): さつまいも
- Pāua (パウア): アワビ
キウイの日常生活・単語集
- Dairy (デイリー): 近所のコンビニエンスストア、よろず屋。独立経営の小さなお店を指す
- Jandals (ジャンダル): ビーチサンダル。”Japanese Sandals” の略という説が有力
- Togs (トグス): 水着。(オーストラリアでも使われます)
- Bach (バッチ): 休暇用の別荘、コテージ。主に北島で使われ、南島では “Crib” (クリブ) とも呼ばれる
- Wop-wops (ウォップウォップス): 人里離れた場所、ど田舎。”in the wop-wops” (ど田舎に) のように使われることが多い
- Tramping (トランピング): ハイキング、トレッキング。特に山中での数日間にわたる本格的な歩きを指すニュアンスが強い
- Chilly bin (チリー・ビン): クーラーボックス
ワーホリで働く! 現場の実践英単語
ワーホリで働く上で、学校では習わないけれど必須となる単語を集めました!
1. 生活のセットアップ編
- IRD Number: ニュージーランドで働くために必須の納税者番号(Inland Revenue Department Number)です。これがなければ給料がもらえません。申請は無料
- Flatting (フラッティング): 家やアパートをシェアすること
- Bond (ボンド): 賃貸契約時の敷金
【注意】IRD番号の申請は必ず公式サイトから!
IRD番号の申請は無料です。
ワーホリや留学生を対象に「申請を代行します」と高額な手数料を請求する非公式な代行業者や、個人情報を盗むための詐欺サイト(フィッシングサイト)が存在します。
申請は必ずニュージーランド国税局(Inland Revenue)の公式サイトから直接行ってください!



私もIRD番号を申請したら手順を画像つきでわかりやすく解説した記事を公開しますね!
【最重要】Tenant (テナント) vs. Flatmate (フラットメイト)
これは単なる単語の違いではなく、あなたの法的な地位と権利を左右する、ワーホリ生活で最も重要な単語です。
- Tenant (テナント): 大家さん(Landlord)と正式な賃貸契約書(Tenancy Agreement)を結んだ人。住居賃貸法(RTA)という法律で強く保護されます。
- Flatmate (フラットメイト): テナントから部屋を間借りしている人(又借り)。大家さんとは契約しておらず、法律による保護をほぼ受けられません。
補足:なぜフラットメイトは立場が弱いのか?(タップして開く)
ワーホリの多くは、手軽さから「フラットメイト」になります。しかし、法律で保護されないと、以下のような深刻なトラブルに巻き込まれるリスクがあります。
- 敷金 (Bond): テナントは敷金を国の機関(Tenancy Services)に預ける義務がありますが、フラットメイトがテナントに預けた敷金は法的に保護されません。テナントが使い込んだ場合、返還が非常に困難です。
- 立ち退き (Eviction): テナントは法的な通知期間(例:90日)なしに退去させられることはありません。一方、フラットメイトはテナントの都合で「来週出て行って」といった短期間の通告で退去を求められる可能性があります。
- トラブル解決: テナントは大家さんと揉めた場合、安価で迅速な「賃貸借審判所(Tenancy Tribunal)」を利用できます。フラットメイトはこれを使えず、より複雑な「紛争審判所(Disputes Tribunal)」を利用するしかありません。
【対策】どうすれば身を守れるか?
フラットメイトになる場合でも、必ず「フラットメイト契約書(Flatmate Agreement)」をテナントと書面で結びましょう。家賃、敷金の額、支払い日、退去時の通知期間(例:2週間前まで)などを明記するだけで、万が一の際の法的な立場が格段に強くなります。



口約束ではなく、証拠となる書類ややりとりは残しておくと安心ですね。



WhatsApp (ワッツアップ)などメッセージツールの場合は、相手から消したり編集も可能だったりするので、念の為スクリーンショットなどを撮っておくと安心です!
2. ホスピタリティ(接客)編
カフェやレストランはワーホリの主要な職場の一つです。
“You right?” / “You right there?”
- (直訳:あなたは正しいですか?)
- 意味: 「いらっしゃいませ」「何かお探しですか?」「ご注文はお決まりですか?」に相当する、最も一般的な接客フレーズ
接客・飲食単語集
- Cuppa (カッパ): 温かい飲み物。「a cup of tea / coffee」の略
- Takeaways (テイクアウェイズ): テイクアウト(持ち帰り)
- Tomato sauce (トマト・ソース): ケチャップのこと
- Hot chips (ホット・チップス): フライドポテト
- Fizzy drink (フィジー・ドリンク): 炭酸飲料(ソーダ)
- Chur (チャー): 「ありがとう」「すごい」など、”Sweet as” と同様に便利な万能スラング
3. ファーム(農業)編
果樹園やファーム作業もワーホリの定番です。
- Gumboots (ガムブーツ): ゴム長靴。ファームの必需品
- Ute (ユート): 荷台付きの小型ピックアップトラック(utility vehicle の略)
- Smoko (スモコ): 仕事中の短い休憩時間
- Mustering (マスタリング): 羊や牛の群れを集めること(羊追い)
- Paddock (パドック): 柵で囲まれた牧草地や畑の一区画


(最重要)知らなきゃ大失敗! キウイ文化の暗黙ルール
単語や文法を知っていても、文化的背景を知らなければ深刻な誤解を招くことがあります。
ここでは、ワーホリ前に絶対に知っておくべき2つの最重要エチケットを紹介します。
警告:「Bring a plate」の本当の意味
パーティーの招待で “Bring a plate” と言われたら?
パーティーやBBQに招待された時、ホストから “Bring a plate”(ブリング・ア・プレート)と言われることがあります。
- やってはいけないこと:
文字通りに「空の皿(an empty plate)」だけを持っていくこと。
- 本当の意味:
「(みんなでシェアするための)食べ物を一皿分持ってくる」という意味です。
文化的背景:
これは「ホストに全ての負担をさせず、参加者全員で貢献し、シェアする(share the kai)」という、ニュージーランドの平等主義的で共同体的な文化の象徴です。
「もし空の皿だけを持ってきたら、あなたは厳しくジャッジされる」と警告されているほど、深刻な社会的失態とみなされます!



これはアメリカなどで言う「ポットラック(持ち寄り)パーティ」と全く同じ意味です。このフレーズを聞いたら、「料理を一品持参する」と覚えましょう!
パブの罠:「My Shout」(マイ・シャウト)とは?
パブで “It’s my shout.” と言われたら?
友人や同僚とパブ(バー)に行った際のルールです。
- 誤解:
「Shout」は「叫ぶ」ことではありません。
- 本当の意味:
「(このラウンドは)私がおごるよ」という意味です。
文化的背景:
ニュージーランドやオーストラリアのパブ文化は「ラウンド制」が基本です。
誰かが “It’s my shout.” と言って全員分をおごったら、次は別の誰かが「じゃあ次は私がおごるよ(I’ll get the next round.)」と返し、順番におごり合うのが暗黙のルールです。



“it’s my shout” と言われたアメリカ人が、自分が怒鳴られるのかと戸惑った、という話も紹介されていました笑
まとめ:キウイ英語は慣れが一番!
ニュージーランド英語は、独特な母音シフト、マオリ文化との深い融合、そしてのんびりした国民性を反映したスラングが特徴です。
ワーホリや留学の当初は、キウイの英語が早口で聞き取れないと感じるかもしれませんが、心配はいりません。
キウイは自分たちのアクセントが独特であることを知っていますし、非常にフレンドリーです。 もし聞き取れなくても、笑顔で “Sorry?” と聞き返せば、喜んでゆっくり言い直してくれるはずですよ!
もし渡航前に少しでも耳を慣らしておきたい方は、「Radio New Zealand (RNZ)」のポッドキャストや、「TVNZ (Television New Zealand)」の無料ストリーミング(TVNZ OnDemand)を観るのが最適です。
キウイ・イングリッシュの単語や発音を学ぶことは、キウイの文化そのものを理解するプロセスです。この記事が、あなたのニュージーランド生活をより豊かに、そしてスムーズにするための一助となれば幸いです。

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